10年前に住宅金融公庫から借りたローンの金利が間もなく4%に引き上げられる。給料は増えないのに、子供の教育費など家計の出費が重くのしかかって大変。ローン返済が増えるとやりくりも限界に近い。公庫ローンの借り換えで少しでも返済負担を軽くできないか相談にのってほしいとの問い合わせが相次いでいます。こちらで取り上げていますが、再度取り上げます。
住宅政策の中核を担ってきた住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の金利適用が、実行後10年間と11年目以降の二段階に分けて設けられた段階金利制度。ステップ償還制度→段階金利制度→ゆとり償還制度と辿ったのは条件緩和の歴史でもあったのでした。最後にはやり過ぎの感が出て悪評高きゆとり償還制度で幕引きとなったのは平成12年でした。

上のグラフは、公庫ローンの申し込み時期別(横軸)の実行時の基準金利(縦軸青線)と11年目以降の適用金利(縦軸赤線)を示したもの。当時の公庫は、申し込みをした時点の金利が適用される仕組み(現在の融資実行時金利適用の仕組みとは異なります)。従って、申し込み時から融資実行まで戸建てでも半年から一年、マンションなどでは規模にもよるが1年半から2年程度後になるのが一般的。
これを踏まえてグラフを見ると当初10年間の金利が最低は2%。申し込み時期はH10年10月16日以降12月27日までの2カ月強。該当借入人たちが実際にローンを借り入れた時期(=自宅が完成して入居した時期)は、申し込み後半年程度とみるとH21年4月辺り以降。いよいよこれから2%から4%への引き上げショックが現実のものとなってくるのです。
2%後の基準金利は、2.2%→2.4%→2.5%→2.6%と小刻みに引き上がって以降H14年4月申込分までは上限2.85%と下限2.50%のゾーンに中に。つまり公庫ローンの借り換えニーズはこれからが本格的に出てくるものと。一過性で終息するのではなく少なくとも向こう5~6年の間は関心が続くテーマと見られます。
上表は、グラフの基準金利値を表記した2.75%→2.55%→2.00%→2.20%と進み上限となる2.85%まで借入金1000万円についての返済月額(A)と10年間の返済元本と10年末時の元本残高、11年目以降金利4.0%適用時の返済内容と当初10年間との負担比較を一覧したもの。借り換えした場合の試算がピンクマーク部分(=残期間固定金利で借り換え)とグリーンマーク部分(10年固定金利に借り換え)。借り換え先金融機関は、全国規模の店舗展開(ネットを含む)している金融機関の中で優遇後の金利が最も低い水準にある先(2009年2月)として残期間固定および10年固定とも三菱UFJ信託銀行が最低金利だったのでこれを事例として取り上げた。因みに、いずれの場合も地銀、信金などで同行よりさらに低金利の優遇金利を出している先がある。
試算結果のポイントは以下の通り。
①残期間20年を金利固定した場合(金利の上下に一喜一憂することなく返済額が確定)、返済月額で(借り換えしないで当初契約継続の場合返済月額比)6072円~6295円負担軽減、残期間全体ベースで145万円~151万円程度の軽減が期待できる。10年固定ものでは返済月額で5444円~5647円、軽減期待値が163万円~169万円になる(10年間の固定期間経過後は現在の基準金利3.25%が適用される前提での試算)。②負担軽減額が最小なのは当初10年間の金利が2.0%の場合であり、負担軽減額が最大なのは同じく2.85%の場合。これは当初10年間の返済元本減り方の差であり、これは当初金利の差に起因し、総返済負担額の差につながるものである。
③ここでは借り換え先は、優遇後の絶対金利だけで決めている。実際の借り換え時には事務手数料、保証料、団体信用生命保険料、火災保険料など(他に法定ものもあるがこれら強制的な費用は等しく発生するとの見方で割愛している)の諸費用の多寡のほか、借り入れ後の繰り上げ弁済の手続きの容易さ、同手数料の有無などを総合的に勘案して決めることが肝要となります。
下表は、残期間固定金利の上位行(上記ピンク部分)の保証料と事務手数料を見たもの。地銀を除いた各行(黄色マークの各行)の金利差は、0.05%刻みで三菱UFJ信託銀行とソニー銀行間でも0.146%。借入額1千万円で利息負担額146千円の差。一方、保証料は旧来からの銀行筋と新興勢力(ネット銀行)とで有り無しに分かれる。保証額1百万円につき保証料が148百円強の水準、1千万円のローン保証で148千円の負担である。
手数料はさすがにゼロの先はない。定額制と定率制に分かれる。定額制は31500円から52500円(いずれも税込み)、ソニー銀行は中間の42000円である。定率制は表中の事例では2.1%、1千万円で21万円。大きな負担である。名目は保証料と手数料と違っても現金支出という点では費用負担の差はない。
しかし、注意してほしい重要なことがある。保証料は借入期間全体に対しての保証であり、途中で繰り上げ弁済すると未経過保証料の返還がある場合があり得るが、手数料は全額貸し出し時の手数料名目で徴収しており返還などはない。繰り上げ弁済などを計画している方は、こうした点にも目配りして検討することが必要ですね。
尚、この保証料と手数料の問題について新生銀行のバリュータイプ金利商品を事例にこちらに書いておりますが(会員制サイト限り)。


