今朝の日経に「住宅ローン金利来月3行が下げ」(14版4面)と出ていました。各行のHPは三菱東京UFJのほかにみずほもアップされていました。他の2行は未だです。プレスリリースと同時掲載をお願いしたいものです。
今回の下げについて日経は、市場金利の低下を背景に(ローン金利が引き下げられた)と報道しています。本当でしょうか??
1月の金利についてこちらで市場金利を睨むと下げ渋っているのでは(もっと引き下げられてもよいのでは)と触れました。同様な動きをソニー銀行でも感じた点をこちらで触れ,、同行の下げ渋りの背景をこちらでまとめておきました。
さて、住宅ローン金利が引き下げとなるのは借り入れる方にとっては基本的に歓迎です。問題視することはないのですが、日経新聞が市場金利の低下を背景にと指摘しているのは”?”です。今回だけではなく今後にも影響してきます。この際本当の背景を理解しておくことにします。
グラフは、最近2カ月間の長期金利の推移を見たものです。

2月の住宅ローン金利に影響を及ぼす1月の市場金利は、少なくとも前月末時点よりも上昇しています。ローン金利引き下げは、参考基準金利の動きに逆行するものです。金利を決めるのは一時点だけで決めるのではない。市場の流れを見ながら決めるものという声も聞こえます。
では時間軸をもう少し長期間とって流れを見てみます。

2008年の長期金利の動きで上げ下げの目立った局面を青線点グラフの下部に白抜きの箱を設けて上げ下げ幅とそれに要した日数を入れておきました。6月16日のピーク時からの下げ局面を見ると、大きく2回ありました。その2回の下げ幅は-0.475%(6/16-8/29)と-0.420%(10/16-12/30)、下げに要した日数は75日と76日とほぼ同じでした。
ところがそれぞれの下げ過程の中でも特に急峻な下げを記録したのが箱を黄色で染めた個所でそれぞれ-0.245%の下げ局面、要した日数が37日と20日と分かれました。即ち、昨秋から暮れにかけての下げスピードはまさにスピード違反的な下げだったのです。そのような状況の中で1月の住宅ローン金利を決める時期を迎えていたのでした。
”もっと市場金利が下がるのではないか。いくら基準としている金利が下がったからと言ってむやみにローン金利を引き下げるわけにはいかない。”当事者の心理状況を推測するとおおむねこんな状態ではなかったか、と推測します。
従って、1月のローン金利は、(理論値的にはもっと下げてもいいのだが)先行き不透明なので下げ幅を圧縮しておこう、と考えた訳です。まして当時の金融経済状況は、グローバルに日に日に坂道を転がり落ちるように悪化していった時期でもありました(現在でも一段と悪化しており、良くなっているわけでは決してありませんが)。要は、将来市場金利上昇時に今次局面で引き下げを渋った反動が批判されるようなことになって上げたくても思うように上げられないことがないように、との思惑が頭をかすめたとしても、これまた不思議ではありません。
結局、2月のローン金利引き下げは、市場金利が下がったことが原因ではなく、本来なら1月に下げるべきところの”下げ残し”を遅れて”下げ消化”しておくことが本当の原因ではなかったかと見ています(僅か0.05%の下げではありますが)。
機会あるごとに触れていますが、市場金利の動き対するローン金利の感応度(上げ下げの反映度合)は上げが大きく、下げが小さいのは下表からも明らかです。


