当日記ではサブプライムローン問題を何度か取り上げてきました(その最初はこちら)。この問題に対する私の視点は、終始経済活動当事者に求められる節度・高い倫理感からの見方です。
本日付日経新聞の経済教室欄には、「大恐慌分析、真の教訓 デフレ的金融政策は禁物 各国当局、格段の進歩 市場道徳の重要性、認識を」と題する猪木国際日本文化研究センター所長の論文が掲載されていました。その主張される中での最後の数節は、私的にはまさに共感するところ大です。共有すべく以下一部ではありますがそのまま転載してご紹介とします。
「公的資金」の投入は、その積極的対応姿勢には心理的なプラス効果が働くかもしれないが、果たしてどれほど大きな効果を持つのかは不明だという点だ。過去の金融危機では、どこの金融機関がどのような不良債権を抱えているのかをある程度判別できた。しかし今回問題になったサブプライムローンの場合、低所得者向けの住宅ローンが債権として金融機関で証券化され、商品として販売されている。種々の債権を組み合わせた証券化商品のリスクは、専門家でも計算できないほど複雑な商品になってしまった。こうした「質」のわからない商品を、格付け機関が与えるスタンプを目安に取引をするのが常態となっていた。
ここには、一般の財の取引でいえば「詐術」と見紛(みまが)うような、道徳的な問題が伏在している点を見逃してはならない。今回の経済危機の裏で市場道徳の退行が進んでいたとすれば、今次の金融危機は、単に公的資金の投入という弥縫(びほう)策だけで完全に乗り切るのは難しいことになる。質に関する劣悪な情報を背景とする市場取引が早晩崩壊することは、経済理論の教えるところであった。正義や正直といった徳が、実は市場自体の存立の大前提であったことをわれわれは再認識させられたのである。

