住宅金融支援機構(以下機構)のHPに「ゆとり返済に関するデータの公表について」と題するディスクローズがありました。投資家の関心が高く、照会も多いことから公表するに至ったとされています。
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ゆとり返済とは、住宅金融支援機構の前身だった住宅金融公庫が扱っていた住宅ローン。その内容は、当初5年間の返済額を、75年返済で組んだと仮定した返済額にし、6年目からは返済額がそれまでの倍になる仕組みの住宅ローンでした。
住宅ローンが公的融資主導の時代に開発されたものであり、ゆとり返済は公庫融資の、ステップ返済は年金住宅融資のネーミングで利用されていたものです。いずれも通常よりも当初の月々の返済額が少なくて済み、また収入が少なくても容易に借りられたために多くの人に利用*されていたものでした。
*先般住宅金融支援機構が公表したデータによると、例えば平成6年度一年間だけでも92千件を超える利用実績があったようで、この制度が取りやめになる最後の3カ年(H9~H11年度)だけでも214千件の利用があったのです。
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サブプライムローン問題に端を発した米国発の金融危機がまさに世界同時金融危機的状況を呈しつつある中で、バブル処理が済んだ我が国の近況はいかがか?と改めて不良債権問題に(機構の債券購入投資家筋をはじめとした利害関係者の)フォーカスが当たったのでしょうか?
下表は、機構の平成19年度のリスク管理債権を整理してみたものです。

留意点を2~3列挙しておきます:-
①既往債権全体で見れば残高の8.6%がリスク管理債権。個人関係債権ベースでは9.0%。僅かだが多くなる。これを日本版サブプライムローンと評判がよろしくなかったゆとり償還利用者ベースではリスク債権率が17.8%と酷いことに依然としてなっているのです(これから新規に住宅ローンを借り入れようと考えている方は、これを他人事と思わずいつかはい自分自身にも当てはまるかもしれない問題と見ておくことです)。
②個人関係債権とその中でのゆとり償還債権の関係をみると、ゆとり償還債権残高8兆3101億円のうち1兆4754億円がリスク管理債権。金額ベースにして実に48.3%にもなるのです。マイホーム取得という夢実現が一転多くの人が返済に苦しんでいる実態が依然として見られます。私は、これを住宅ローン版人生楽あれば苦あり、苦あれば楽あり、と見ているのです。
③リスク管理債権の内訳をみると、64.7%が貸出条件緩和債権です。実態は民間金融機関であれば容易に条件緩和はしないであろう債権についても、弾力的な対応をすることでオフ・リスク管理債権化(表中A+B+Cが実質リスク管理債権でありDは含まないとする考え方)を図ろうとした結果と推測しており、これも含めたものをリスク管理債権ととらえておく必要があります。
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では何故このように機構は依然として不良債権に悩まされているのでしょうか?その原因を探るデータも機構は提供してくれています。
平成5年度と6年度は、当初の5年間の返済額を75年間の返済期間と仮定して計算した期間であり、平成9年度から11年度までは制度廃止になる前の最後の3年間の利用状況です。
公庫融資依存度(LTV)にしても返済負担率(DTI)にしても、ゆとり返済制度を利用した方たちの依存度なり負担率が制度を利用しなかった方たちに比較すると、その率水準が高かったことに注目する必要があると見ています。その方たちの心理状態は、一概には申せませんが、
①安きに流れた結果ではないか。即ち、住宅ローンに”楽”を期待したのではないか。そんな心理を読み取ることができます。
②住宅取得計画自体に堅実性・慎重さを欠いていた。即ち、借り入れ予定者の自分自身の将来性(収入が増えるだろうとの期待感)に対する”甘え”があったのではないか。そんな心理が読めるような気がします。
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私は、住宅ローンソリューションズの主宰として理論だけに走ることなく自己体験を加味したアドバイザーをめざして取り組んでおります。その出発点は、折にふれて既に触れてきました。マイホーム取得というサラリーマンにとっての一つの夢実現は、誰でも実現できているようで、実はなかなか大変な難事業なのであります。心して掛からないと手痛い授業料を支払うことになりかねません。
あなたの住宅ローンが、借入先の金融機関のリスク管理債権の仲間入りすることがないよう心から願ってやみません。
大手4行の10月の住宅ローン金利が出揃いました。当初固定期間10年ものローンまでは、各行とも+0.1%の引き上げで並びました。
引き上げの背景は、下のグラフのように参考としている長期金利が一時期より上昇してきたためであります。
10月は今年度の下半期入りの月。各行の住宅ローンにはいくつかの変更点が見られます。その中で留意すべき一つとして優遇措置という名の金利引き下げキャンペーンに変化が現われてきています。下表のうち黄色でマークした箇所が9月までの優遇と変更になったところです。

三菱東京UFJとみずほの両行は、当初固定期間2年、3年について最初に大きな優遇措置を講ずることを止めました。その対象を5年と10年(みずほは7年もその対象に含む)に絞ってきました。
また三井住友は、最初に大きな優遇ローンの対象を、9月までは当初固定期間10年ものだけだったものが、10月から5年ものが追加されました。
こうした営業方針の背景には、固定期間の短いものについては先行き金利上昇リスクが見込まれるので貸し手として優遇措置は取れない。中期的な5年もの以上の住宅ローンへのシフトを図りたい、との銀行サイドのメッセージが込められているように読むことができるのではないでしょうか。
尚、フラット35の10月の金利については、会員専用HPにすでにアップ済みです。ご参考まで。

