厚生労働省から平成19年度(平成19年4月1日~平成20年3月31日)の勤労者財産形成持家個人融資(以下財形住宅ローン)の貸出実績が発表された。それによると融資戸数3,467戸、融資金額75,650百万円であり、対前年度比それぞれ35.3%減、31.1%減となった。これで3年連続前年度を下回ったことになります。
同省からは四半期ごとの実績値も発表されています。平成16年度以降の実績はグラフに示した通りであり、期を追って右肩下がりが顕著。苦戦しています。
背景には、①民間住宅ローンの商品多様化による公的住宅ローン需要の減退、②商品競争が激化、相対的に財形住宅ローンの有利性喪失、③フラット35など長期固定分野での取り扱い金融機関が増加、販売競争が激化した等の影響が考えられます。
更に、財形住宅ローンの潜在需要者と見られる財形貯蓄契約者数並びに貯蓄残高の減少傾向に歯止めがかかっていないこともその要因の一つとして挙げられるのではないでしょうか。
財形住宅融資制度の歴史は、融資条件緩和の歴史でもありました。住宅金融公庫時代には公的住宅融資3本柱の一つとして①公庫、②年金、③財形の位置づけにあった時代にはです。
以前、フラット35の制度改正に関連して融資制度の歴史は条件緩和の歴史であり、条件緩和には良い緩和と悪い緩和があるが、結果として条件緩和は不良債権の増加に繋がっていくということを書きました。
足もとの財形住宅融資実績が不冴えでその打開策として一段の条件緩和を考えるとしても、結局は金利の引き下げをいかなる論理を用いて打ち出すのかに収斂した議論になるのではないかと私は思います。
しかし、現在の財形住宅ローンの金利の考え方は、5年利付国債の利率に基づく債券(償還期間5年)と短期プライムレートに基づく借入金(借入期間1年)により調達する金利等を考慮して設定されています。かつて金利が高く実績が伸びずに苦戦した時代に現在の金利の考え方に変更した経緯があり平成11年4月以降現在の5年間固定金利制を実施しています。
現在の算出根拠は、出来上がりの金利を相当低くするためのそれなりの苦労の跡が窺えるものとなっています。前回変更から未だ日が浅いことなどもあり、簡単には変更できないものがあるのではないかとも言えそうです。起死回生の財形住宅ローン反転攻勢の対策が打ち出されるのか静かに見守りたいと思います。

